採用担当者であれば「内定の辞退率が高い」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。内定承諾率を上げる改善策はいくつかありますが、内定メールもそのひとつです。
「内定メールに記載するべきポイントは?」「内定メールを送るタイミングは?」「内定メールを送るのに適した時間帯は?」など、採用担当者でも、わからない点がたくさんあると思います。内定メールは内定者にとって企業イメージに直結しやすく、内定者の不安を払拭することのできる重要なメールでもあります。内定承諾率を上げる内定メールの送り方を、具体的に体験談を交えながらお伝えしていきます。
目次
内定メールとは?
内定メールとは、企業が就活者に内定をお知らせするメールのことです。そもそもですが内定とは、採用が正式に発表される前に内々で決定した時点で、就活者に伝えることです。
企業によっては「採用通知書」や「ファンレター」という言い方をすることもありますが、内定メールと同じ意味です。
内定メールは企業から内定者に初めて送るメールであることも多いですが、ビジネスマナーが守れていなかったり、逆に硬すぎるメールになってしまうと、内定者に悪い印象を与えてしまいます。会社の印象は内定辞退率に直結しますので、内定メールはとても重要です。
内定メールは法的には送る必要はありませんが、今はメールで内定を通知する企業が多くなっています。採用担当者としてもメールで内定を通知したほうがメリットが多いですが、詳しい理由は後ほど解説いたします。
内定メールの効力は?
内定メールは企業が一方的に送るもので、メールを送っただけではまだ契約書など正式な書類は交わしていません。そのため内定メールはあまり重要ではないと思っている方も多いのではないでしょうか。私も採用担当だったときは、契約に向けて内定を「通知するだけのメール」という意識しかありませんでした。
しかし契約書を交わしていなくても内定メールを送ることによって、法的に「労働契約が成立している」とみなされることがあります。つまり、内定メールを送っているにも関わらず内定取り消しをしてしまうと、解雇に相当する意味を持つこともあるのです。
逆にメールなどせずに、内定報告を口頭だけで伝えるとトラブルに繋がる恐れもあります。入社後に「内定のときと聞いていた条件が違う」と言われてしまう可能性がありますが、その場合やりとりした証拠が残っていないのでどうしようもありません。そのため、内定通知はメールという形に残る方法で行うことをおすすめします。
入社前は多くの内定者が不安を抱えていますが、内定者も内定メールを持っていれば安心できます。企業が内定者の不安を解消することによって、内定承諾率は上がっていきます。
内定をメールで通知することは、内定者にとっても企業にとってもメリットのあるwin-winな方法なのです。
内定の伝え方は電話とメールどちらがいい?
先ほどお伝えしたように、電話で内定を伝えると形に残りませんがメールだと形に残るため、メールの方がよいとされています。後で見返せるよう形に残すことが重要なため、電話で内定を伝える場合でも、「内定受諾書」や「入社誓約書」を発行しておけば問題ありません。
少し前は電話と郵送の書面で内定を通知していましたが、今はほとんどの企業がメールで内定を通知しています。
電話だと内定者の時間の都合が合わなければ留守電を残したり、折り返しを待ったり、通知までに時間がかかってしまう場合もあります。私も採用担当時代は就活者に電話をすることもありましたが、新卒は電話に慣れていないことが多いので電話になかなか出てくれず、中途の場合は日中が仕事のため電話に出ることができません。
その分メールだと相手の都合に縛られずにメールを送って、相手も都合がいいタイミングで返事が送れるので電話よりもスムーズに内定承諾までたどり着けることが多かったです。
内定メールに記載するべきポイント
内定メールに記載するべきポイントは下記です。
・件名
・宛名
・差出人
・挨拶
・本文
・今後の手続きなど
・結びの挨拶
・署名
基本的なビジネスメールと同じような内容ですが、これらが内定メールを送る際に抑えておくべきポイントです。
件名は他のメールに埋もれてしまわないよう、「選考結果」「採用内定」「採用決定」など、一目でメールの内容が伝わる文言を入れることを意識しましょう。
本文では採用内定であることをはっきりと伝えることが重要です。ぱっと見ても内定メールと伝わるように作成しましょう。
また、あまりにも硬いメールだと職場の雰囲気が伝わりづらく、内定者が緊張してしまいます。結びの挨拶の部分などを使って、コミュニケーションが取りやすいような文章を入れてみてもいいと思います。
例文についてもここから具体的に紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
内定メールの例文
こちらの例文は、先ほどお伝えしたポイントがしっかり抑えられているので、ぜひ参考にしてください。
件名:【選考結果のご連絡】株式会社〇〇
●●様株式会社〇〇人事部の〇〇と申します。
先日はお忙しい中、弊社の採用最終選考にお越しいただき誠にありがとうございました。
厳正なる審査の結果、●●様の採用が内定しましたのでお知らせいたします。
つきましては、ご入社にあたって当社にご提出いただく書類を発送させていただきました。■月■日までに、必要書類をご用意の上、同封の返信用封筒でご返送くださいますようお願いいたします。
ご入社日は■月■日の予定でございます。
ご不明な点などございましたら、当社人事採用担当〇〇(電話〇〇〇-〇〇〇 メールアドレス〇〇@〇〇.co.jp)または私〇〇までお問い合わせください。
選考にあたりましたは、たびたびお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。●●様とお会いできますことを職員一同、心待ちにしております。
メールで恐縮ですが、取り急ぎご連絡申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
————————————————–
株式会社〇〇〇〇住所:〇〇〇〇TEL:〇〇〇〇URL:〇〇〇〇Mail:〇〇〇〇
「●●様とお会いできますことを職員一同、心待ちにしております。」の文章は、内定者が採用担当者の気持ちを感じ取れる部分だと思います。内定メールは企業が送る正式なメールなので崩しすぎるとよくありませんが、多少アレンジして内定者に気持ちが伝わる文章にしてもいいでしょう。
私は「●●様の~~という点をとても評価しております。●●様と一緒に働ける日を心待ちにしております。」と記載していましたので、ぜひ参考にしてみてください。
内定メールを送るタイミング
内定メールを送るタイミングとしては、内定が決まり次第なるべく早い方がいいです。応募者は同時に何社も並行して選考を進めている場合がほとんどで、競合の企業に先に内定報告を出されると、早い方に内定承諾されてしまう可能性があります。内定を早く出すことで、内定者が他の企業の選考を辞退してくれることも考えられます。
昨今は人材不足が深刻化していますが、内定メールは人材確保のためにもなるべく早く出すことが重要です。
私が採用担当の時は面接日当日に内定メールを送った際、内定者が他の選考を中断してくれたことがあったので、それ以降なるべく早く通知するようにしていました。
面接で就活者と直接会った後は、企業に対して好印象を持ってくれることが多い点も、早く内定メールを送ったほうがいい理由のひとつです。転職サイトdodaの調べによると、74.8%の人が「面接により志望度が高まった経験がある」と答えたようです。
参考 | 面接の印象は志望度を左右する?転職での「面接の印象」に関する20代・30代の本音調査
面接での好印象が薄れる前に内定メールも送ってしまった方がいいでしょう。
内定メールのその他注意点
いつまでに送るか事前に伝えておく
面接などの最終選考の際に、いつまでに合否の連絡をするか伝えるようにしましょう。いつまでに送るか伝えていない場合、内定者は連絡が来るまで常に不安を抱えてしまうことになります。基本的には1週間以内の連絡がおすすめです。
また、「1週間以内に合否の連絡をします。」と伝えた場合でも面接当日に合否が出たのであれば、すぐに内定メールを送っても問題ありません。
ただし不採用の場合は面接後すぐに連絡してしまうと、「しっかり審査してくれたのだろうか?」と疑問が残ってしまうので、1日程度空けてから連絡するとよいでしょう。
内定メールを送るのに適した時間帯は?
メールを送るのに適した時間は特にありません。ただし、あまりに夜遅い時間だったり、早朝だったりすると「この会社はこんな時間まで仕事をしていてブラック企業ではないか?」と疑われるため、定時時刻内のメールがおすすめです。
私が採用担当で内定メールを送っていた時は、午前中にメールを送るようにしていました。午前中にメールを送っておけば、当日中にメールを呼んでもらえる可能性が高く、内定者は自分のタイミングで返信することができます。午前中のメールの場合、当日の午後には返信が来ることが多かったです。
仮にメールの作成が午後になってしまっても、送信予約で翌日の午前中に送れるように設定しておけばうっかり送信を忘れることもありません。
内定メール以降のフォローメールについて
これは内定メールを送った後の話になりますが、内定メール後から入社までの間に、内定者へのフォローも重要です。内定後のフォローは内定辞退の防止になります。
内定後のフォローとしては、懇談会などのイベントを設けてコミュニケーションを取る場を増やすことがポイントです。
特に内定から入社までに長い期間がある場合は内定者が不安を持ってしまう期間も長いため、定期的にコミュニケーションを取ることをおすすめします。内定ブルーという言葉もありますが、内定者は「本当にこれでよかったのだろうか」という悩みを抱えていることが多いです。内定メール以降も、内定者に寄り添うことを意識しましょう。
送る前の最終見直しポイント
内定メールを送信する前の最終的なチェックポイントは下記です。
・宛先のメールアドレスと宛名が一致しているか
・誤字・脱字はないか
・入社書類や内定式の内容に誤りはないか
・記載されている個人情報に誤りはないか
記載事項に誤りがあったり、送り先を間違えてしまうと「適当な仕事をする会社」という悪いイメージを持たれやすいです。
上記のポイントは送信前に必ずチェックするようにしましょう!
まとめ
内定メールは最初に内定を通知するだけのものではありません。内定を通知したことを形として残しておくという効果や、内定者に会社の雰囲気を伝えて内定を承諾してもらいやすくするという効果もあります。
内定メールの意味をしっかり理解したうえで、今回紹介した例文を参考にメールを作成してみてください。内定承諾率の改善に役立つと思います。