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2024年1月24日 コラム
この記事の監修者:株式会社WHOM 編集部

メンバーシップ型雇用とは?ジョブ型雇用が注目されている理由も解説

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メンバーシップ型雇用は日本のみで導入されている雇用システムで、人柄やコミュニケーション能力を評価基準として人材を採用する方法です。

しかし近年は少子高齢化による労働人口減少やグローバル化を理由に、メンバーシップ型雇用からの脱却を求める声が増えています。

今回はメンバーシップ型雇用のメリット・デメリット、そしてジョブ型雇用との違いを解説します。

メンバーシップ型雇用とは

メンバーシップ型雇用とは、業務内容を限定せずに人間性やポテンシャルを重視して人材を採用するシステムです。

戦後から日本企業で多く用いられてきたシステムですが、日本以外の国ではほとんど使用されていないので「日本型雇用システム」などと言われています。

新卒で一括採用し長期雇用、終身雇用を前提にしたシステムであり、メンバーシップ型雇用と反対のジョブ型雇用を行う海外では用いられていません。ジョブ型雇用については後ほど詳しく解説します。

日本でメンバーシップ型雇用が用いられる歴史的背景

海外では使われないメンバーシップ型雇用を日本が使用している理由は、歴史的背景にあります。

日本は戦後の高度経済成長期に生産力を上げるため多くの人材が必要となり、集団就職などで一度に大量採用し長期的な人材育成を進めました。大量な人材を集めるために企業は終身雇用、年功序列といった制度を設け、人々に将来の補償をすることで人材を囲い込みました。

その結果、日本経済は成長したためメンバーシップ型雇用が定着し、現在まで用いられています。

ジョブ型雇用との違い

ジョブ型雇用とは企業が必要とする専門的なスキル、経験、資格などを持つ人材を雇用するためのシステムで、職務内容を限定して採用します。海外では主流の採用方法で、メンバーシップ型雇用と反対の方法です。

メンバーシップ型雇用ジョブ型雇用
仕事業務内容や勤務地が限定されていないことが多い専門性が高く限定的
給与職能給
経歴やスキル、勤続年数を重視
職務給
業務の難易度や専門性を重視
人材人柄やコミュニケーション能力を重視専門的な知識を重視
採用定期採用中心(新卒一括採用)欠員補充や新規ポジション中心
解雇解雇されにくい業務の終了、消失によって解雇される可能性がある

メンバーシップ型雇用は「会社にマッチする人材」を採用し、ジョブ型雇用は「仕事内容にマッチする人材」を採用します。業務内容や勤務地が限定されていないため入社後に仕事を割り当てられるメンバーシップ型雇用に対して、ジョブ型雇用は募集時から業務が限定されています。

給与の仕組みも異なります。メンバーシップ型雇用は年齢や勤続年数によって給与が決まる年功序列であるのに対して、ジョブ型雇用は業務の難易度や専門性で給与が決まります。

メリット

メンバーシップ型雇用のメリットは次のとおりです。

・配置転換ができる

・帰属意識のある人材を育成できる

・長期的かつ計画的に人材を育成できる

・新卒一括採用により採用コストを抑えられる

ひとつずつ見ていきましょう。

配置転換ができる

メンバーシップ型雇用は業務を限定せずに人材を採用しているため、欠員が出た場合でも臨機応変に配置転換することができます。退職する社員が出ても同じような経歴やスキルを持った人材がいる可能性が高く、流動的に配置転換できるため、新たな採用を行わなくてもいいというメリットがあります。

帰属意識のある人材を育成できる

長期雇用は企業に対する帰属意識を持たせることができます。企業の一員であるという意識のことを帰属意識と呼びますが、終身雇用制度は「定年までその企業に所属すること」を意味するので、帰属意識が高くなると言われています。

帰属意識を持てば企業に対する忠誠心が高まり、離職率を抑えることにつながります。

また帰属意識があると社員同士の結束力が高まり、生産性の向上も期待できます。

長期的かつ計画的に人材を育成できる

長期雇用を前提で採用しているため、計画的な育成がしやすくゼネラリストを育てることができます。ゼネラリストとは幅広い知識、スキル、技術を持った人材のことで、ある分野に特化したスペシャリストと対比して用いられます。

ゼネラリストは全体を見て仕事を指揮する管理職に就くことが多いです。

 

新卒一括採用により採用コストを抑えられる

メンバーシップ型雇用の新卒一括採用は短期間でまとめて採用できるため、採用コストを抑えることができます。求人媒体への掲載や説明会、面接などはその都度コストがかかりますが、新卒一括採用はこれらをまとめて行うためコスト面では効率的な採用方法です。

ジョブ型雇用のように通年で募集を行うと、欠員募集のたびにコストがかかってしまいます。

デメリット

メンバーシップ型雇用のデメリットは次のとおりです。

・スペシャリストが育ちにくい

・従業員の生産性が下がりやすい

・人件費がかさむ

・テレワークに向いていない

・海外人材の採用が難しい

ひとつずつ見ていきましょう。

スペシャリストが育ちにくい

メンバーシップ型雇用は社員がさまざまな部署を異動しながら、幅広い業務を経験します。その分ひとつの業務を長期間行うことができないため、専門的な知識や技術を身に付けたスペシャリストは育ちにくいシステムです。

従業員の生産性が下がりやすい

メンバーシップ型雇用で用いられる終身雇用は評価基準が年功序列のため、仕事で成果をだしても昇給や昇格に直結しにくいシステムです。長く勤務することが評価につながるため、目の前の業務に対するやる気が失われやすく、特に若手社員はモチベーションを維持しづらいシステムです。

人件費がかさむ

メンバーシップ型雇用は仕事の結果ではなく勤続年数や年齢を評価し給与を払うシステムです。

企業が存続すればおのずと所属する社員の勤続年数も上がっていくため、人件費も増加していきます。企業の収益が増加しない場合は、人件費が企業規模に合わなくなってしまう可能性があります。

テレワークに向いていない

テレワークという働き方はそれぞれ社員の働きぶりを注視することができないため、働き方ではなく結果を評価するジョブ型雇用の企業に向いています。

またメンバーシップ型雇用は業務の範囲が決まっていないので、上司とコミュニケーションをとりながら業務が割り振られることが多いです。テレワークでは密なコミュニケーションが取りにくいので、メンバーシップ型雇用の企業では向いていないと言われています。

海外人材の採用が難しい

海外ではジョブ型雇用が一般的なので、メンバーシップ型雇用の評価制度は海外の人に受け入れられにくいです。

2023年2月の株式会社オリジネーターによる「日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート」によれば、51.6%が給与水準に対して不満を持っており、29.0%が人事評価に対する不満をもっていることがわかりました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000045936.html

メンバーシップ型雇用の課題と解決策

メンバーシップ型雇用は専門性を持った人材を獲得することが難しい採用方法です。中途採用で専門性を持った人材を獲得しても、企業がメンバーシップ型雇用であれば評価制度は年功序列なので、中途で入った社員への評価と従来からいる社員への評価で食い違いが生まれてしまいます。

評価制度が整っていない中専門職の人材が必要な場合は、業務委託か外部の組織に委託し専門性の高い業務をカバーすることができます。

また総額人件費のコントロールもメンバーシップ型雇用の課題です。

先ほど解説したように、年功序列の評価方法だと年々人件費は増加します。業績と人件費のバランスが悪くなってきた場合、給与査定方法を見直すか人員を削減する必要がでてきます。

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への変化

近年メンバーシップ型雇用は時代遅れと言われる傾向にあります。2018年頃から経団連会長は毎年日本の終身雇用制度について言及しており、2020年には「一つの会社でキャリアを積んでいく日本型の雇用を見直すべきだ」と発言しました。大手企業でも徐々にジョブ型雇用を導入する企業が増えてきました。

これからは一人ひとりの仕事の専門性が高まり、業務範囲はより限定的になっていくと言われています。

これまで日本でジョブ型雇用が導入されてこなかったのは、メンバーシップ型雇用からの変更には大きな改革が必要という理由があります。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変更する場合、会社全体の評価制度や人事制度、給与形態など多くの制度を見直す必要があります。それまでメンバーシップ型雇用の制度に合わせて仕事を行ってきた人たちは、ジョブ型雇用への変更でこれまで積み上げてきた評価が変わることに否定的です。

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ変更するためには、徐々に制度を変えながらジョブ型雇用を取り入れるなど、綿密な計画が必要です。

しかしすべての企業がジョブ型雇用にする必要はなく、業種や業態によって適性があります。後ほど、メンバーシップ型雇用が向いている企業について解説します。

ジョブ型雇用が注目される背景

ジョブ型雇用が注目される一番の大きな理由は、少子高齢化による労働人口の減少です。人材不足が叫ばれる中、大量採用、長期雇用を前提としたメンバーシップ型雇用は時代に合わなくなってきています。ジョブ型雇用を導入し、必要なポジションに合う人材をピンポイントで獲得することで、最少人数で企業の生産性を高めることができます。

また転職が当たり前になっている社会において、労働者もいい企業があったら転職したいと考えている人が増えています。終身雇用を前提としたメンバーシップ型雇用では、企業が人材育成している途中で退職されることが増えており、時代とマッチしない雇用方法になってきています。

またグローバル化した社会もジョブ型雇用を促進する原因となっています。グローバル企業が日本にどんどん進出してきており、専門職のプロフェッショナルはジョブ型雇用のグローバル企業に取られてしまっています。メンバーシップ型雇用の年功序列だと専門技術をもった優秀な人材は評価に不満を持つため、獲得することが難しいです。

先ほど述べたようにメンバーシップ型雇用はテレワークなどの働き方と相性が悪いです。一方ジョブ型雇用は業務結果を評価するシステムなので、テレワークや時差出勤などの働き方にも対応できます。

子育てや介護をしながら仕事をしたいと思っているスキルや経験を持った人材を確保するためには、ジョブ型雇用で仕事内容や能力を評価するシステムが適しています。

そのためワークライフバランスの考え方を持つ人が増え、多様な働き方を求める現代はジョブ型雇用が求められています。

2021年のパーソル総合研究所の調査によると、57.6%の企業がジョブ型雇用の導入を検討、または導入済みという結果が出ています。

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/employment.pdf

一方、2021年の公共財団法人 日本生産性本部の調査によるとジョブ型雇用を希望する労働者は64.9%という結果だったため、企業と労働者共にジョブ型雇用への変更を求める割合が多いということが分かります。

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/7th_workers_report.pdf

タスク型雇用について

タスク型雇用とは、発生した課題に対しスポットで一時的に人材を雇用する方法です。ジョブ型雇用がスキルを重視し採用するのに対し、タスク型雇用はより狭い範囲の業務の遂行が求められます。

ジョブ型雇用よりもスピーディーに人材を集めることができ予算も計算しやすいため、プロジェクトやタスクごとに新たな人材を雇用しチームを組むことに向いているシステムです。

現在ではフードデリバリーシステムの配達パートナーや、業務委託でのフリーランスの雇用などでタスク型雇用が用いられます。

メンバーシップ型が向いている企業、向いていない企業

向いている企業

メンバーシップ型に向いている企業は次のとおりです。

  • 幅広くスキルを学ばせたい企業
  • 管理職候補を育成したい企業
  • 社員全員に同程度のスキルで同じ業務をさせたい企業

メンバーシップ型雇用は幅広いスキルがあるゼネラリストが育ちやすいシステムです。欠員が出た場合でも柔軟に異動できる状態が必要な企業はメンバーシップ型雇用が向いています。

専門的なスキルが必要な場合には、外部の専門職に委託するなどの対策方法があります。

向いていない企業

メンバーシップ型雇用に向いていない企業は次のとおりです。

  • 特定のスキルや専門知識を重視し、高度な業務を担当できる人材を求めている企業
  • 時短勤務、リモートワーク、子育てや介護の両立を支援する企業

特定のスキルや専門知識を持った人材が多く必要な企業は、メンバーシップ型雇用に向いていません。具体的にはIT、エンジニアリング、デザイン、クリエイティブ分野の企業などが挙げられます。

また時短勤務やリモートワーク、子育てや介護との両立はメンバーシップ型雇用に向いていません。業務の難易度や専門性を評価するジョブ型雇用が適しています。

まとめ

メンバーシップ型雇用は企業の業種や業態、募集するポジションの専門性によって適性があります。時代は徐々にジョブ型雇用に移行しつつありますが、メンバーシップ型雇用からの変更には大きな労力が必要です。

どちらの雇用システムが自社に適しているのか、ぜひ検討してみてください。