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2024年1月24日 コラム
この記事の監修者:株式会社WHOM 編集部

ハイヤリングマネージャーとは?メリット・デメリットと適した企業を解説

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外資系企業を中心に導入されているハイヤリングマネージャー制度は、新しい社員を募集する部門が主体となって選考を進めていく制度です。少子化で労働人口が減少する現代において導入する企業が増えています。

今回はハイヤリングマネージャーのメリットとデメリット、そして導入すべき企業について解説していきます。

ハイヤリングマネージャーとは

ハイヤリングマネージャーとは、採用の決裁を行う人のことです。つまり採用活動において最終的な決定権を持っている人のことを指しますが、書類選考や面接官を担当し主体的に選考を行っていく立場でもあります。

採用の決裁を行う人はこれまでも存在しましたが、ハイヤリングマネージャーは所属する部門が従来とは異なります。

これまではどこの部署の社員を採用する場合でも、人事部が採用の決裁を持っていることが多かったと思います。しかしハイヤリングマネージャー制度では、人事部ではなく新しい社員を採用する部門からハイヤリングマネージャーが選ばれ、その部門が主導で採用を行います。基本的には、入社後所属する部門のトップや上司となる社員がハイヤリングマネージャーに選任されます。

例えば経理の人材を募集する場合、経理部の部長や上司がハイヤリングマネージャーとなります。業務範囲は企業によって異なりますが、ハイヤリングマネージャーを中心として経理部門全体で選考を進めていきます。

ハイヤリングという言葉は「雇用」という意味です。ハイヤリングマネージャーの他に、ハイヤリングフリーズ(採用活動の中止)、チームハイヤリング(チーム採用)などといった使われ方をします。

もともと外資系企業で多く用いられていた制度ですが、現在では国内でも導入する企業が増えています。

業務内容とスキル

ハイヤリングマネージャーの業務範囲は企業ごとに異なります。

導入している多くの企業では、書類選考に参加し面接官を務めます。直接応募者にスカウトを行ったり募集要項の作成から携わるなど、選考の前段階から関わる場合もあります。

企業規模や募集するポジション、ハイヤリングマネージャーのキャパシティーによって業務内容は異なります。

これまでの採用方法だと採用する部門の担当者は一部の面接に参加し、スキルや部門適性の部分を中心に確認する業務がほとんどでした。ハイヤリングマネージャーは人事部門でなくても選考から入社までの工程で主体となります。

人事部は採用アドバイザーとしての役割になることが多く、適性検査の分析など採用戦略の見直しや、入社後の研修の充実、その他の社員の満足度を上げる仕事に集中できます。

ハイヤリングマネージャーに求められるスキルとしては、応募者が適した人材かどうかを見極める洞察力が必要です。

適した人材か見極めるためには身だしなみや容姿といった外的要素だけで評価せずに、価値観や適応力といった内面を評価することが重要です。

限られた時間内で内面を判断するために、質問や会話のスキルを磨く必要があります。

ハイヤリングマネージャーが必要な理由・時代背景

近年は少子高齢化に伴い労働人口が減少しています。そのため求人数が多く求職者が少ない売り手市場が続いており、人材獲得競争が激しくなっています。

優秀な人材を獲得するためには、スピーディーに選考を進めることが重要です。

ハイヤリングマネージャーであれば、適した人材にピンポイントでアプローチしスピーディーに採用することで、他社との競争に勝つ可能性が上がります。

また労働人口が少ないことで人事部の人手が足りない企業は採用活動の進みが遅くなり、他社に先に採用を出されてしまうことがあります。ハイヤリングマネージャー制度を導入し現場部門と選考業務を分担することで、人手不足をカバーすることができます。

労働人口の減少は人材獲得競争や社内の人手不足をもたらします。少子高齢化が進む時代において、ハイヤリングマネージャー制度を導入することで問題点を改善できます。

企業にとってのハイヤリングマネージャーのメリット

ハイヤリングマネージャーを導入する企業側のメリットは次のとおりです。

・人事部の負担が減少する

・責任感が増し、採用の質が上がる可能性がある

・現場の育成意識と定着へのこだわりが高まる

・人事部門と現場部門がそれぞれお互いに理解が深まる

ひとつずつ見ていきましょう。

人事部の業務負担が減少する

ハイヤリングマネージャー制度を導入することで、採用業務を現場部門と分担できます。人事部は採用業務が減り、余ったキャパシティーで母集団形成や、他の社員の充実度を上げるなど、企業全体のための人事業務を行うことができます。

先述したように、人事部が人手不足の企業でもハイヤリングマネージャーを導入すれば採用活動を行うことができるというメリットもあります。

責任感が増し、採用の質が上がる可能性がある

現場の社員も自分たちで採用を行うため責任感が増し、採用の質が上がる可能性があります。今後一緒に働く人材を採用するとなれば、当事者意識をもって能動的に選考を進めるでしょう。その結果しっかりした選考基準を持った、質の高い選考になる可能性が高まります。

人事部主導の採用を行った場合、「採用要件は満たしているが、思うように活躍してくれない」といった、人事部と現場部門のすれ違いが起こることがあります。ハイヤリングマネージャーは直接人材を選考することができるため、人事部と現場部門のすれ違いを少なくなります。

応募者にとっても、ハイヤリングマネージャー制度であれば上司となる人と入社前に話せる機会が増えるため、入社後の雰囲気をイメージでき安心して選考を進めることができます。面接や面談において、業務内容や働く環境について具体的な質問をすることも可能です。従来であれば質問があった場合、一度持ち帰って現場から回答を得る必要がありましたが、ハイヤリングマネージャーがいれば質問に対してもすぐに答えることができます。

現場の育成意識と定着へのこだわりが高まる

ハイヤリングマネージャーは一緒に働く人を自分たちで見つけて採用することができるので、現場社員は育成意識と定着へこだわりが高まります。

せっかく採用した人材が早期退職しないためには、現場の働きやすさが重要です。働きやすさを求めて風土改善や育成システムの充実に取り組むなど、現場社員の意識が変わることで社内の問題点の改善につながります。

人事部門と現場部門がそれぞれお互いに理解が深まる

人事部門とハイヤリングマネージャーが協力して採用を進めるため現場との接点が増え、お互いの事業内容や人材状況の理解が深まります。

部門同士の理解が深まり連携できる企業は、新しいアイデアが浮かびやすくサービスや製品の品質向上につながります。

企業にとってのハイヤリングマネージャーのデメリット

ハイヤリングマネージャーのデメリットは次のとおりです。

・現場の負担が増加する可能性がある

・面接対応にムラが出る可能性がある

・他部門で必要な人材が不採用になる可能性がある

ひとつずつ見ていきます。

現場の負担が増加する可能性がある

ハイヤリングマネージャーは通常業務に加え、採用業務が発生するため現場の負担が増加する可能性があります。

そのため事前に現場のキャパシティーを確認してハイヤリングマネージャーを選任する必要があります。詳しくは後ほど記載します。

面接対応の質にばらつきが出る可能性がある

ハイヤリングマネージャーが面接のトレーニングを受けていない場合、面接対応や評価の質にばらつきが出る可能性があります。

対処法としては面接対応のトレーニングを行ったり、評価基準を設定し徹底するといった方法が考えられます。

他部門で必要な人材が不採用になる可能性がある

他部門で必要な人材が不採用になる可能性があります。ハイヤリングマネージャーは自分の部門で必要な人材獲得が目的なので、他部門で必要な人材は把握していないことが多いです。

自分の部門で必要なくても他部門で必要かどうかを判断できるよう、定例MTGなどで部門間の情報共有を行いましょう。

ハイヤリングマネージャー制度を導入すべき企業

ハイヤリングマネージャー制度を導入すべき企業は次のとおりです。

・専門的な部門の人材を求めている企業

・人事部の人手が足りていない企業

・社員の定着率が低い企業

ひとつずつ見ていきましょう。

専門的な部門の人材を求めている企業

専門性の高い人材を求めている企業はハイヤリングマネージャーを選任することをおすすめします。

専門的な部門の選考を人事部が進めてしまうと、部門の内情や技術的なことを理解せずに採用してしまう可能性があります。

専門的な部分を不確実なままで進めてしまうと、必要人数に採用を出すことが目標となってしまい、スキルを満たさない人材を採用するという事態が発生してしまう恐れがあります。

人事部の人手が足りていない企業

人事部の人手が足りない企業はハイヤリングマネージャー制度を導入することで、人事部の負担を軽減できます。

人手が足りないにも関わらず採用業務を行うと選考のスピードが落ちてしまい、優秀な人材を他社に取られてしまう可能性があります。選考のスピードは応募者の満足度にもつながるため、選考に人的リソースをかけることは重要です。

ハイヤリングマネージャーが面接官の場合には、日程調整も直接行えるので採用活動がスピーディーに進みます。

なるべくスピーディーな採用を行うために、人事部の人手が足りない場合はハイヤリングマネージャーの導入を検討しましょう。

社員の定着率が低い企業

社員の定着率が低い理由は、仕事内容が合わない、人間関係が悪い、といったミスマッチであることが多いです。

先ほどお伝えしたように、入社前に応募者が上司となる人と会うことができるハイヤリングマネージャー制度は、入社後のミスマッチを減らす効果も期待できます。

応募者とハイヤリングマネージャー、お互いが入社前に雰囲気を確かめ合う機会を設けることができるので、定着率が低い企業は導入することをおすすめします。

導入する際のポイント

ハイヤリングマネージャーを導入する際のポイントは次のとおりです。

・活躍している人のスキルや経験をまとめる

・ハイヤリングマネージャーになる人のキャパシティーを確認する

・事前にハイヤリングマネージャーの権限を確定させる

ひとつずつ見ていきましょう。

活躍している人のスキルや経験をまとめる

活躍している人のスキルや経験をまとめ、現場だからこそわかる評価基準を設定しましょう。

現場は人材が欲しいので、ハイヤリングマネージャーがハードルを下げて採用してしまうことがあります。それを避けるために現場部門で活躍している人のスキルや経験を基に明確な選考基準を定め、採用を行うことが重要です。

基準を失った採用活動の対策としてAmazonはバーレイザーというポジションを設置しました。バーレイザーとは「バーを上げる人」という意味で、採用の基準を高めるために選任される人のことです。

ハイヤリングマネージャーになる人のキャパシティーを確認する

ハイヤリングマネージャーを選任する前に、キャパシティーを確認する必要があります。本来の業務を行いながら採用活動を行う必要があるので、キャパシティーが足りなくなってしまう可能性があります。

現場部門の中でも個々人の業務量を確認し、担当者の選出や業務の調整を行いましょう。

事前にハイヤリングマネージャーの権限を確定させる

企業によってハイヤリングマネージャーが採用に関わる段階が次のように異なります。

・書類選考から

・スカウトから

・募集要項の作成から

・最終的な採用決定まで

ハイヤリングマネージャーになる現場の人は選考に慣れていないため事前準備が必要な場合があります。

どの段階でハイヤリングマネージャーが割り当てられるのかを人事部と現場部門で事前に調整しましょう。

まとめ

ハイヤリングマネージャーは人事部の負担を軽減しながら、採用をスピーディーに進めることができます。その結果、少子高齢化で労働人口が減少する現代でも適切な人材を効率的に獲得することができます。

専門的な部門の採用を行う企業や、人事部の人手が足りない企業は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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