中途採用は一見「即戦力が集まるからメリットしかない」と思う方もいるのではないでしょうか。
中途採用には、メリットだけでなくデメリットもあるため、その理由をおさえていないと希望する採用活動の成功につながりません。
しかし、具体的な特徴や新卒採用との違い、中途採用を成功させるポイントがわからないときも多いはずです。
そこで本記事では、中途採用のデメリットやメリット、新卒採用との違い、成功させるためのポイントを詳しく解説します。
人事として、中途採用を成功させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
中途採用を実施する5つのデメリット
中途採用を実施するデメリットは、下記のとおりです。
- ミスマッチの可能性がある
- 早期離職が起きるときもある
- 求める人物像が集まらない場合がある
- 新卒と比較してコストが高くなる
- 複数採用が難しい
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット1.ミスマッチの可能性がある
中途採用を実施するデメリットのひとつは、ミスマッチの可能性がある点です。中途採用は、社会人経験がある人材を採用しますが、働く期間が長くなるにつれて会社の色がつきます。
自社が募集するスキルがマッチしていも、価値観や進め方に合わない場合があるはずです。
たとえば、新しい従業員が仕事に適応できず、業務の品質や効率性が低下するケースが考えられます。また、従業員のモチベーションやモラルが低下し、離職率が上昇する可能性もあるでしょう。
ミスマッチを最小限に抑えるには、中途採用のプロセスを慎重かつ戦略的に進める必要があります。候補者の適性や文化への適合性を評価し、採用と同時に働きやすい環境づくりを実施することが大切です。
デメリット2.早期離職が起きるときもある
早期離職の可能性があるのも、中途採用を実施するデメリットです。
早期離職が発生する原因は、一人ひとりによって異なりますが、中途社員と企業の期待や要求が一致しないことがあげられます。
また、組織文化や価値観の違い、業務内容への適合性の不足、人間関係の問題、他のキャリア機会への魅力なども要因となり得ます。
近年は、大転職時代となっているため「転職をする」ということに前向きになっている求職者も多いはずです。企業にとって早期離職は、採用コストの無駄遣いや生産性の低下、評判への悪影響をもたらす可能性があります。
その結果、組織としての安定性や効率性にも悪影響を及ぼすでしょう。
中途採用を行うときは、求職者との相性を慎重に評価し、採用プロセスにおける情報提供や働きやすい環境づ来るの強化を通じて、早期離職を防ぐ対策を講じることが大切です。
デメリット3.求める人物像が集まらない場合がある
企業は、特定の特性やスキルを持つ候補者を求めて採用活動を進めますが、時には適切な求職者が応募しない、または限られている場合があります。
なぜなら、自社よりも良い条件で採用活動をしている企業があるからです。求める人物像が集まらない状態が続いてしまうと、企業としての成長が止まってしまう可能性があります。
成長が止まった企業は、求職者も魅力に感じないケースが多いため、さらに悪循環が続くでしょう。
この状況を打開するには、戦略的な採用計画を見直し、求人広告の改善、採用条件の柔軟化、選考プロセスの最適化などのアプローチを検討する必要があります。中途採用では、競争的な転職市場で魅力的な企業としての地位を築く努力が必要です。
デメリット4.新卒と比較してコストが高くなる
新卒採用に比べてコストが高くなる可能性があるのも、中途採用を実施するデメリットです。具体的には、求人広告や選考プロセスにかかる広告費用、経験者の高い給与要求、新入社員のトレーニング費用などがあげられます。
また、求人広告を利用して中途採用をする企業もいれば、人材紹介を活用するケースもあるはずです。
人材採用は、求人広告と違って採用に成功した1人あたりの成果報酬型となっています。基本的には、求職者を採用した年収の20~30%になるケースがほとんどです。
年収1,000万円で採用すれば、300万円の仲介手数料が発生するため、大きな支出となるでしょう。
中途採用は、手段によってコストが大きく変化します。採用コストを抑えるには、自社が求める人物像が求人広告または、人材紹介のどちらで採用できるのかを明確にし、予算をあらかじめ設定したうえで活動しましょう。
デメリット5.複数採用が難しい
中途採用において、複数のポジションに対する同時採用が難しいというデメリットが存在します。企業が成長するにつれて、さまざまなポジションに対する需要が高まるはずです。
しかし、複数採用には、お金や時間、人的リソースが多く必要になるため、現実的に難しくなります。
とくに条件を求めずに中途採用を行えば、集まるかもしれません。ただし、転職後ミスマッチとなる可能性が高くなるため、避けるべきです。
自社が求める人物像を一度に複数採用しようとすると、ミスマッチになるリスクが発生します。
そのため、中途採用では、複数採用が難しいと言えるでしょう。
中途採用を実施する3つのメリット
中途採用を実施するメリットは、下記のとおりです。
- 即戦力を確保できる
- 相乗効果が生まれる
- 教育コストをカットできる
中途採用では、デメリットだけでなく、メリットも理解したうえで、総合的に判断することが大切です。
メリット1.即戦力を確保できる
中途採用のメリットのひとつは、即戦力を確保できる点です。中途採用では、経験者や専門家を採用するため、既存のスキル・知識を自社で活用できます。
ただし、即戦力になるか否かは、ターゲット層にもよるはずです。中途採用の基準値を高く設定すれば、スキルや経験を持った求職者が集まります。
即戦力となる中途採用を実施する場合は、自社が求める人物像を明確にし、条件に合った採用戦略を考えるようにしましょう。
メリット2.相乗効果が生まれる
相乗効果が生まれるのも、中途採用を実施するメリットです。自社で育成した人材は、既存社員と同じように成長する傾向があります。
一方、他社で育成された人材は、自社とは違った手法を用いている可能性があります。自社では思いつかなかった方法があれば、新しい手法として取り組めるため、より生産性が高まるかもしれません。
中途採用では、自社と違うスキルや経験をもった人材を雇用することで、新しいノウハウが手に入れられます。
今まで違った新しい風を入れたい企業にとって、中途採用は大きなメリットになるでしょう。
メリット3.教育コストをカットできる
中途採用では、経験者や専門家を採用するため、既に必要なスキル・知識を持っているため、新入社員と比較して研修などにかかる教育コストが低減できます。
通常、新入社員を採用した場合、入社後に社会人としてのトレーニングや教育プログラムが必要です。教育には、人材担当者やトレーナーの時間とリソースだけでなく、費用も膨らみます。
しかし、中途採用者は既に社会人としての経験を得ているので、事業内容などの共有を行えば、即座に実務へと取り組めるはずです。
使用しなかった教育コストは、別の事業へと投資ができるため、組織全体の成長も期待できます。
教育コストのカットは、企業にとって重要な要素であり、大きなメリットとなるでしょう。
中途採用と新卒採用の違い
中途採用と新卒採用の違いは、下記のとおりです。
- 求めるスキル・経験・実績
- 選考期間
- 給与・待遇
それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。
1.求めるスキル・経験・実績
中途採用は、いままでのスキルや経験、実績を求める傾向があります。
新卒採用は、これからの将来性に期待したポテンシャルを求めるはずです。
中途採用と新卒採用では、求める条件が異なるため、同じように考えてしまうと、採用活動が失敗する可能性があります。
中途採用と新卒採用は、異なる採用活動として捉えるようにしましょう。
2.選考期間
中途採用は、年中問わず実施でき、短期間で行います。
新卒採用は、インターンや説明会、座談会などのプロセスが必要となるため、長期にわたって実施されるケースがほとんとです。
採用活動を実施するときは、中途・新卒のどちらかで事前の準備も変わるでしょう。
3.給与・待遇
中途採用は、求職者のスキルや経験、実績によって異なります。
新卒採用は、一定額に定められた給与で行うのが一般的です。
採用活動では、中途・新卒採用によって予算を割り振る必要があるでしょう。
中途採用を成功させる5つのポイント
中途採用を成功させるポイントは、下記のとおりです。
- 応募条件を明確にする
- 他社との優位性を伝える
- 内部の情報も公開する
- 選考フローに面談を設ける
- スピーディーな対応を意識する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.応募条件を明確にする
中途採用を成功させるには、応募条件を明確にする必要があります。なぜなら、転職後のミスマッチを予防するためです。
採用活動では、自社が求める基準値を設けるはずです。しかし、何の条件も決めずに採用活動を実施してしまうと、求める人物像とは違う求職者が集まります。
また、求職者の数も多くなる可能性があるため、一人ひとりに向き合う時間が減ってしまうかもしれません。
一方、応募条件を明確にすれば、一定の基準を満たした求職者が集まるため、ミスマッチを減らした状態で選考を行えます。
書類・面接選考を通じて、さらに求職者を絞り込めば、自社にマッチした人材を採用できるでしょう。
2.他社との優位性を伝える
他社との優位性を伝えるのも、中途採用を成功させるポイントです。中途採用を実施する企業は、日本中に多く存在します。
その中で自社を選んでもらうには、魅力的な要素をアピールしなくてはいけません。ありきたりな内容で募集しても、母集団形成はできないでしょう。
他社との優位性を伝えるには、同じ業界・職種で求人広告を出している企業の情報を集めます。どのような部分を訴求し、何が魅力なのか分析することで、差別化するポイントを見つけられるはずです。
得た情報をもとに、他社との優位性を伝えられれば、中途採用を成功へと導けるでしょう。
3.内部の情報も公開する
求職者は、外的要因だけでなく、内的要因も気にして企業を探します。求人広告で「入社3年以内に年収1,000万円を目指せる」などのアピールをしても、ブラックな環境があるかもしれないと感づくはずです。
しかし、内部がクリーンであると公開できれば、転職後もギャップを感じることなく働けます。
内部情報の公開は、求職者の定着率に直結します。離職率が低くなれば「良い会社なんだな」と客観的に判断できるため、中長期的に企業としても良いイメージを与え続けられるでしょう。
結果的に、求職者が集まる仕組みづくりができるため、中途採用の成功につながります。
4.選考フローに面談を設ける
選考フローの中に面談を設けることは、中途採用の成功に不可欠です。なぜなら、面談を通じて、企業と求職者の双方がお互いをより深く理解し、適切な選択を行うための機会が作れるからです。
面談は、面接と違って気軽に話せるコミュニケーションの場を提供します。求職者としても、ラフに話し合える環境を与えられることで、気になる点を質問できます。
企業側としても、面接ではわからなかった素の部分を確認できれば、自社にマッチしているかを的確に判断できるはずです。
面談は、お互いをより理解する貴重な時間です。転職後のミスマッチを予防し、成功させるためにも、選考フローに面談を設ける必要があるでしょう。
5.スピーディーな対応を意識する
スピーディーな対応を意識するのも、中途採用を成功させるポイントです。中途採用の競争が激しい状況では、求職者を確保するために素早い行動が必要です。
迅速な対応は、求職者への敬意を示すものであり、信頼を築くためにも重要な要素となります。
求職者は、転職先をなるべく早く決めたいと考えている傾向があります。他社よりも早い対応を行えば、求職者を逃がさずに、確保できる可能性が高くなるはずです。
選考結果の判断も重要ですが、求職者の立場を考え、できるだけ早い行動を意識するようにしましょう。
中途採用を成功させるならデメリットを理解しよう
中途採用のデメリットと、メリットについてまとめてみましょう。
メリット | デメリット |
即戦力を確保できる相乗効果が生まれる教育コストをカットできる | ミスマッチの可能性がある早期離職が起きるときもある求める人物像が集まらない場合がある新卒と比較してコストが高くなる複数採用が難しい |
中途採用を実施するときは、メリットだけでなくデメリットも考慮して行うことで、リスクを回避しながら進められます。
中途採用は、お金や時間、人的コストが多くかかっているため、少しでも無駄をなくし、戦略的なアプローチを意識しましょう。