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2023年10月3日 コラム
この記事の監修者:株式会社WHOM 編集部

中途採用に最も適した採用時期とは?活発な時期1月と閑散期12月のメリット・デメリットを解説

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中途採用における採用時期において、最も市場が盛り上がる活発な時期が1月で、落ち着く閑散期が12月と言われています。しかし企業にとっては「どの時期が最も採用に適した時期か」を一概に言うことはできません。今回はその理由から活発な時期と閑散期それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

採用時期とは

中途採用は新卒採用と異なり、採用していい時期や人数が規則として決まっているわけではありません。そのため企業は、1年を通してそれぞれ自社の必要な時期に採用することができます。

中途採用では求職者も自分の好きな時期に転職活動をすることができますし、会社も好きなタイミングで人材を募集することができるため、求職者数や求人数は一定ではなく時期によりばらつきがあります。

一方新卒の場合、学生が学業へ集中できるように採用スケジュールのルールが政府により発表されており、企業は決まった時期にしか採用活動を行うことができません。

中途採用は市場が活発な時期と閑散期(活動が少ない時期)によってそれぞれメリット・デメリット、採用活動を成功させるポイントがあります。そのため、採用戦略を深堀りし、自社に合った時期に採用することが、適切な人材を効率よく獲得するために重要です。

中途採用に適切な時期は?

中途採用は、時期によりメリット・デメリットがあるため、一概にいつが適切な時期ということはできません。「適切な時期は企業によって異なる」という答えが正解だと思います。

転職をしたい人数を表す「求職者数」と、人材を求めている企業数を表す「求人数」の2つの数字の増減により、それぞれの時期に特徴が出ます。母数となる「求職者数」が多く、ライバル企業となる「求人数」が少ない時期が適切な時期と思われる方も多いですが、時期によるメリット・デメリットを理解せずに採用活動をしてしまうと無駄にコストがかかったり、内定辞退へとつながってしまいます。

実際に私が人事担当の際に何度か内定辞退がありましたが、今考えると採用時期のデメリットを知らずに闇雲に採用活動をしていたからかもしれません。

これから中途採用が活発になる時期と閑散期を具体的に紹介し、メリット・デメリット、採用活動におけるポイントまでを解説いたします。

この記事を参考に自社に合った採用時期を検討してみてください。

また、中途採用は求人募集から採用までに平均して1~3カ月かかります。その1~3カ月を逆算して求人募集をスタートできるよう事前に理解し採用活動の準備を進めていきましょう。

中途採用の活発な時期と閑散期の年間スケジュール

「求人数」と「求職者数」の推移を元に、中途採用の活発な時期と閑散期を見ていきましょう。両方の数字が増加する時期を活発な時期、両方とも減少する時期を閑散期とします。

「求人数」と「求職者数」は時期により波がありますが、毎年同じように推移しますので、それぞれの波が重なる時期を見計らって採用時期を決めましょう。

参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省

まずは「新規求人数」で見ると、1月10月が最も増加する時期です。

1月に増える理由として、12月が決算期の企業は1月が年度初めなので、予算が新たになる1月の段階で求人を出すことが多いからと考えられます。10月に増える理由も似たような理由で、3月が決算の企業は10月に下期を迎えることになります。そのため、予算や人員計画が変わった10月のタイミングで求人を出す企業が多いのでしょう。

5月12月は少ない時期ですが、理由としては人事の担当がどちらも忙しい時期であるということが考えられます。5月は新卒採用の準備が始まる時期で、12月は年末で業務量が多い時期です。

そのため5月と10月は企業が求人を出す数が少なくなっています。

参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省

次に「新規求職申込件数」を見ると1月に増え始め、4月にピークを迎えます。新規求職申込件数とは、新たに受け付けた求職者の件数のことです。

1月から4月に増える理由としては、4月は新しい年度が始まるということで部署異動や昇給・昇格が頻繁に行われる時期であり、環境や気持ちの変化が起こりやすいと考えられます。そのため4月退職に向けて行動する人が1月から徐々に増え、4月の部署異動や昇給・昇格が発表される時期にピークを迎えると考えられます。

最も少ないのは12月です。理由としては、求職者も12月は年末の業務で仕事が忙しく、転職活動を行えないということが考えられます。

活発な時期

上記で説明した「新規求人数」「新規求職申込件数」の両方が増加している1月が、中途採用の市場が最も活発な時期です。

仕事を求めて転職活動している人と、新しく採用する人を探している企業が多いということなので、転職市場が最も活発な時期は1月と言えるでしょう。

閑散期

活発な時期とは反対に、「新規求人数」「新規求職申込件数」の両方が減少している12月は閑散期です。

転職活動をしている人と、採用しようと求人を出している企業がどちらも少ないので、12月は転職市場における閑散期です。

採用時期によるメリットとデメリット

採用時期は活発な時期と閑散期に分けられると説明しましたが、ただ単に活発な時期がよくて閑散期は悪いというわけではなく、それぞれの時期にメリットとデメリットがあります。

それぞれの企業の採用計画にあった採用時期を選ぶことが重要です。

活発な時期に採用するメリット

採用市場が活発な時期である1月は求職者が多いので、応募が集まりやすいです。

求職者が多いと採用できる人材の幅が広がりますし、採用辞退になってもすぐに次の求職者にアプローチできるというメリットがあります。採用できる母数が増えるため、複数名採用を計画している企業にとっては、比較的採用しやすい時期だと思います。

また、活発な時期である1月は年度末であり会社の期が切り替わる時期と重なるため、求職者にとっても企業にとっても、入社の調整が行いやすいというメリットもあります。

活発な時期に採用するデメリット

活発な時期は求人に適していると思われがちですが、各企業も同じように採用に力を入れるため、ライバル企業が増えます。ライバル企業の求人の掲載数が多くなるので、自社の求人情報が埋もれやすくなってしまいます。そのため競争率が高くなり、面接辞退や内定辞退につながるリスクが高いというデメリットがあるでしょう。

私が採用担当していた際、活発な時期に求人サイトに掲載すると自社の採用広告が埋もれてしまうということがありました。そのため活発な時期は求人サイトだけではなく、ダイレクトリクルーティングやSNSを使うなど、いくつかの採用方法を併用して求職者にアプローチしていました。

閑散期に採用するメリット

閑散期は求人に不利だと思われがちですが、他社による求人の掲載数が減るため、自社の求人情報が目立ちやすいというメリットがあります。またライバルとなる企業が少ないため、活発な時期ではなかなか出会えないような、ハイスペックな人材と出会える可能性が高くなります。求職者1人ひとりがアプローチを受ける数も減るため、選考辞退のリスクも比較的低くなるというメリットもあります。

閑散期に採用するデメリット

求職者の数自体が減るため、応募の数を集めるのが難しくなります。また、経験や知識が豊富な人材に企業の関心が集中してしまうというデメリットもあります。優秀な人材を採用するために、なるべく求人を出し続けて求人情報を求職者の目に留まりやすくするという戦略が必要になります。

その他のデメリットとしては、閑散期は12月なので時期としては長期休暇と重なり、求職者と採用担当者のスケジュール調整が難しいという印象があります。

それぞれの時期の中途採用を成功させるポイント

活発な時期

最も重要なポイントは、選考スピードを早めることです。活発な時期は求人の数が多いため、同時に複数の選考を進めている求職者が多いです。求職者としても「なるべく早く転職先を決めたい」と考えているので、応募をしてから採用の通知までが早いと、他の企業を断って自社に入社してくれる可能性が高まると思います。

私は人事を担当していたころ、選考のスピードを早めるために以下の項目を意識していました。

・求職者とのメールのやり取りは当日または翌日に返す・面接の時間帯は幅広い候補を準備する・求める人材を明確化しておく

閑散期

求人を出し続けることが重要なポイントです。閑散期は新規求人数が少ないため、求人を出し続けることによって求職者の目に留まりやすくなります。

閑散期は求人を掲載しているライバル企業が少ない点がメリットなので、求人を出し続けるという戦略が最も効果的になる時期です。

求人から採用までのスケジュール

求人から採用までのスケジュールを確認し、必要な時期までに人材を確保できるよう計画をたてましょう。

①採用計画を立てる

求める人材や募集要項を明確にした採用計画を立てます。採用計画で決めるべきポイントは下記です。

・採用人数・いつまでに採用したいか・必要な経験 / スキル・人物像

②求人広告等を利用して母集団を形成しましょう

豊富な母集団を形成することで、採用計画に合った人材を確保できる可能性が高まります。母集団の形成とは、「自社の求人に関心を持つ求職者を集める」ことです。

求人サイトやSNSなど、さまざまな採用方法の中から自社に合う方法を使って母集団を形成します。

③書類選考、面接

母集団を形成できたら選考を進めていきます。書類選考と面接は、求職者とのやりとりを含め、なるべくスピード感をもって進めていくことを意識しましょう。選考に時間がかかったり連絡が遅くなってしまうと求職者は不安になってしまい、人材が他社に流れてしまう可能性があります。

④内定、入社

内定を出し、入社を待つまでの間にも求職者へのフォローを定期的に行い、内定辞退とならないよう注意する必要があります。

私が人事を担当していた際は、内定者が他の企業に流れてしまわないように内定から入社までの期間をなるべく短くしていました。そうすることで内定者も入社への熱量を保ったまま転職することができると思っています。

職種別おすすめの採用時期

求職者の「仕事探しの時期」に関する調査を実施 | indeed

職種によって採用時期の波は大きくは変わりませんが、多少求職者の動きに変化があります。

上記のデータは、「営業」「マーケティング」「経理」「人事」「事務」のワードが時期ごとに検索された数を表したものです。

データによると、この5つの職種に関しては、3月に最も求職者が多く、12月が最も少ないということがわかります。

よくある質問

急な欠員でも、中途採用に最適な時期まで待った方がいいか?

会社に急な欠員が出てしまった場合、抜けた穴がすぐに埋めなければいけないポジションであれば最適な時期まで待つ必要はないと思います。

しかし、急いで人材を補充する必要がない場合は、最適な時期まで採用計画を練りながら待った方がいいでしょう。効率よく能力の高い人材を確保する可能性が高まると思います。

通年で採用活動をしてもいいか?

通年で採用活動を行う場合、SNSやハローワーク、自社採用サイトなどの無料で運用できる採用活動を行うことをおすすめします。

転職サイトや転職エージェント、人材派遣などを通年で行うとコストが高くついてしまいます。

通年では無料で行える採用活動を行い、適切な時期にコストをかけて採用活動を行うことで、より効率的に人材を確保できると思います。

まとめ

中途採用は時期によってメリット・デメリットがあります。闇雲に採用活動を行ってしまうと無駄なコストをかけてしまうということになりかねません。しっかり採用計画を立て採用時期を選択することで、効率的に最適な人材を確保することができますし、さらには離職率を下げることにもつながります。

人材確保の準備を入念に行って採用活動を成功させましょう。

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