SNSを使って求人を行う方法は、近年多くの企業が取り入れています。最近は普段からSNSを使う機会が多いため、求職者も使い慣れたSNSで気を張らずにコミュニケーションを取ることができます。
「SNSを使って求人する方法が知りたい」「どのSNSを使って求人をすればよいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
今回はSNSを使った求人のメリットやデメリット、SNSを使った求人で成功するポイント、具体的なSNSごとの特徴について紹介します。
目次
SNSを使った求人とは
SNSを使った求人とは、X(Twitter)やInstagramなどのSNSで企業情報や求人情報を発信し応募者を集める方法です。または企業から求職者へダイレクトメッセージを送り、スカウトを行う際にもSNSを活用できます。SNSを使った求人方法の名称として、「ソーシャルリクルーティング」という言い方も定着しつつあります。
求人の際のSNSは、X(Twitter)やInstagram、Facebookなどが使用されることが多いですが、最近はTikTokやYouTubeを使って知名度を集める企業も増えています。
企業が求職者へ直接アプローチする採用方法はダイレクトリクルーティングと呼ばれますが、SNSを使った求人も求職者へ直接アプローチする採用方法なので、ダイレクトリクルーティングの中のひとつとして分類されます。
私が採用担当をしていた時にSNSを使った採用活動をよく行っていましたが、初めのうちは「求人媒体を使わずに採用担当と求職者が直接やりとりすること」に不安がありました。法律的には求人サイトなどと同様に、次の3つの禁止事項を破らないように意識していました。
・年齢制限を設ける・・・年齢を理由に応募を断るなど・性別による差別をする・・・採用の条件や選考が男女で異なるなど・最低賃金を下回る条件提示をする・・・最低賃金額を下回る求人を出す |
SNSを使った求人はコストがかからないので、採用に費用をかけることができない中小企業にとっては効率的に人材を獲得できる採用方法です。
まずはどのようにSNSを活用して応募者を集めるのか、具体的に説明します。
SNSを活用した3パターンの求人方法
求人方法としてSNSの使い方は、次の3点です。
・企業を知ってもらう情報発信ツール・求職者と直接やりとりするためのツール・自社が求める人材にアプローチするツール |
企業を知ってもらう情報発信ツール
企業を知ってもらうための情報発信ツールとして活用できます。他の求人媒体と比べてX(Twitter)やInstagramなどのSNSは気軽に写真や動画をアップロードすることができるので、社内の雰囲気をよりリアルに発信することができます。求職者にとっても普段の生活の中で企業を見る機会が増えるので、身近に感じるきっかけとなります。
企業の公式アカウントとは別に、採用専用のメディアとしてSNSアカウントを運用する方法もあります。より求職者にとって有益な情報に特化したコンテンツを発信することができます。
求職者と直接やりとりするためのツール
SNSのダイレクトメッセージ機能を活用すれば、メールや電話を使わなくても求職者と直接やりとりすることができます。
SNS上で質問を受け付けておけば、求職者も気軽に質問することができますし、その後も企業から連絡を取りやすくなります。
自社が求める人材にアプローチするツール
自社が求める優秀な人材をSNS上で見つけ出せば、企業から直接アプローチすることができます。
最近ではSNSで求職中ということを発信し、企業からのアプローチを待っている方も多いです。自社にマッチする人材を見つけ、こちらからオファーするという使い方も有効なSNSの活用方法です。
メリット(効果)
SNSを使った求人には次のメリットがあります。
・無料または低コストで活用できる・拡散力が強い・リアルタイムに発信することが・ミスマッチの防止につながる・求職者の人物像を見ることができる |
ひとつずつ解説します。
無料または低コストで活用できる
多くのSNSは無料で利用できるので、コストを抑えて採用活動ができます。求人サイトなどの求人媒体は利用にコストがかかる場合がほとんどです。
採用コストの上限が決められている中小企業などは、「無料のSNS」と「有料の求人媒体」を併用して採用活動を進めるとより効率的です。
拡散力が強い
SNSは他の求人方法と比べても拡散力が強いので、上手く拡散されれば素早く認知度をあげることができます。また就職・転職を強く希望している層だけでなく、「いい企業があれば応募したい」と考えている就職・転職潜在層へアプローチすることができるので、効率的に*母集団を形成できます。
SNSは他の求人媒体との相乗効果が高い採用方法です。SNSで直接応募を集められなくても、SNSの拡散によって認知度が上がれば求人サイトなどから応募が集まる場合があります。
*母集団形成・・・自社の求人に興味関心を示す求職者の集団 |
リアルタイムに発信することができる
SNSはリアルタイムで企業の動きを発信することができます。企業のイベントなどがあればその都度発信し、求職者は企業の最新の状況を見ることができます。
また企業理念や経営者の考えなど、重要な情報は目に留まりやすいタイミングで発信するなど、戦略的な運用をすることで求職者も少しずつ整理しながら企業の魅力を受け取ることができます。
ミスマッチの防止につながる
SNSによって求職者は実際に入社した後の姿を想像することができるので、事前にミスマッチを防ぐことが期待できます。
私が採用担当をしていた際、採用専用のX(Twitter)アカウントを開設しました。採用専用のアカウントでは「実際に働いている社員の日常の仕事風景」「社内イベントの様子」「社員紹介」などを写真や動画付きで発信しました。
企業説明会や求人サイトでは見ることができない社内の様子を発信できるので、求職者にとっても会社にとってもミスマッチを防ぐ大きな役割があったと思っています。
求職者の人物像を見ることができる
SNSで求職者からフォローされたりダイレクトメッセージがあれば、相手のアカウントを通して普段の人となりを見ることができます。面接などではわからない側面が見えることで、SNSを通して自社の求める人材かどうかを判断する助けとなる可能性があります。
デメリット
SNSを使った求人のデメリットは次の4つです。
・時間と工数がかかる・即効性は期待できない・炎上する可能性がある |
時間と工数がかかる
SNS運用において最も重要なことが、定期的に更新することです。更新が滞ってしまうと、「業務が過度に忙しい企業」「風通しが悪い企業」などのマイナスのイメージをもたれてしまう可能性があります。
SNSは、投稿するコンテンツを探す手間もかかるので、運用の担当を決めたりルールを事前に決めておくとよいでしょう。後ほど詳しく解説します。
即効性は期待できない
求人サイトやエージェントなどの求人媒体と比べて、即効性は低いです。
SNSは求職者に有益な情報を定期的に発信することで、徐々にフォロワーを増やしていく必要があります。フォロワーが集まるまで時間がかかるので、すぐにでも人材が必要な場合にはSNSの求人は効果的ではありません。SNSは育てていくという意識が必要です。
炎上する可能性がある
SNSの拡散力はメリットにもなりますが、一方炎上した場合にもすぐに広がってしまうというデメリットにもなります。
炎上する投稿のパターンとして「上から目線の内容」であることが多いようです。
私が所属していた企業では、SNSの運用をひとりに任せるのではなく、発信前に第三者に確認してもらうという方法で対策をとっていました。
SNSによる求人を成功させるためのポイント
SNSで求人をする際は、ただ定期的な更新をするだけではなく、いくつかのポイントを抑えておくことが重要です。
・目的を明確化する・ターゲット層を明確にする・投稿頻度や運用ルールをあらかじめ決めておく・継続的に更新をする |
目的を明確化する
SNSで求人を行うといっても、企業によってその目的はさまざまです。「母集団形成のため」「ミスマッチを防ぐため」「知名度を上げるため」などが考えられますが、目的次第で更新内容や使い方は違ってきます。
効率的にSNSを運用するために、事前に目的を明確化しましょう。
ちなみに私が採用担当の際は、「①ミスマッチを防ぐため」「②母集団形成のため」の2点を目的にSNSを運用していました。そのため仕事風景や、社員の人となりを、写真付きで毎日投稿していました。
ターゲット層を明確にする
ターゲット層を明確にすることで、使用するSNSを選択しやすくなります。例えば「20代がターゲットであればXやInstagram」「30代がターゲットであればFacebook」など、SNSにも年齢層や職種によって得意不得意があります。
事前にターゲットを明確にすることで、迷わずにSNSを選ぶことができます。
投稿頻度や運用ルールをあらかじめ決めておく
SNS運用をスタートさせる前に、投稿頻度や運用ルールを明確にしておくことをおすすめします。また、SNS運用の担当を決めておくことで、投稿内容にブレが生じにくくなります。
継続的に更新をする
SNS求人の効果を発揮するために定期的な更新が重要です。事前に決めた頻度に沿って継続して更新しましょう。
私は会社でイベントが起こったりすると写真や投稿文章をストックしておき、更新する内容に困った日に、ストックした内容を改めて更新していました。SNSには投稿予約できる機能もあるので、毎日決まった時間に投稿できるよう予約しておくこともおすすめです。
具体的なSNSごとの特徴と活用方法
X(Twitter)
X(Twitter)は幅広い年齢の方が利用していますが、10~20代の若者の利用率が最も高いです。フォロワーが「リポスト」や「いいね」をすることで、フォロワー以外の層にも広く届くことが特徴です。
リアルタイムで、情報が拡散されやすいツールです。
Instagramでは、画像や動画が主なコンテンツになり、視覚的な印象に残りやすいツールです。20代に人気があり、オフィス風景や社員が働く様子をアップする企業が多いです。
X(Twitter)と比べて拡散が難しいので、ストーリーズを定期的に更新したり、ハッシュタグを活用するなどの工夫が必要です。
20~30代のユーザーが最も多いツールです。SNSの中では最もフォーマル寄りな印象があるのがFacebook。
ほとんどのユーザーが本名で登録しているので、リアルな友好関係のつながりがFacebookでは現れます。そのため、*リファラル採用とも親和性が高いツールです。
*リファラル採用・・・自社の社員から知人を紹介してもらう採用方法 |
Wantedly
Wantedlyは、就職・転職のためのSNSという印象があります。募集ページやブログ機能があるので、求人サイトのような使い方もできます。さらに、企業側から求職者へ直接アプローチすることもできるので、ダイレクトリクルーティングをすることもできます。
20~30代が最も多く登録しています。
SNS求人をはじめる前に確認しておきたい注意点
・セキュリティに注意する・プライバシーやコンプライアンスを守る・情報の欠落や不正確さに注意する |
これらの対策として、SNS運用の担当とは別に第三者を用意し投稿前にチェックを行ったり、投稿前のチェックリストを設けておくとよいでしょう。
セキュリティに注意する
SNSを運用する際には機密情報が漏えいしないように注意しましょう。SNSは頻繁に更新する必要があるので、目新しい社内コンテンツがあればつい公開したくなる気持ちはわかります。
一般には公開できない情報の線引きをするために、事前のルール作りが重要です。
プライバシーやコンプライアンスを守る
SNSの更新で社員の情報や写真などを掲載する場合は、本人の了承を得てから掲載するようにしましょう。
SNS運用を経験した際に、SNS運用を担当している社員とそれ以外の社員で温度差を感じることがありました。SNS運用の担当だけが盛り上がっていると、周りと溝ができ本来の業務に支障がでてしまうということもあります。
SNSはなるべく会社内全体で協力して作り上げることが重要なので、プライバシーやコンプライアンスには注意しましょう。
情報の欠落や不正確さに注意する
SNSでは説明会や求人条件を公開することも多いです。会社のSNSで発信した情報は、公式の情報として受け取られます。
そのため、時間や場所、条件などの重要な情報は正確であるか、投稿前にしっかりチェックしましょう。
まとめ
求職者は興味がある企業のSNSは必ずチェックしますし、企業にとってもSNSは求職者へアピールするチャンスなので、SNSは現代では求人に欠かせないツールになってきています。
他の求人媒体とも相乗効果が高いので、しっかりルールを設けた上で導入することをおすすめします。まずは自社の目的を考え、最適なSNSを選ぶところからはじめてみてはいかがでしょうか。